ネガってもない

まっすぐ歩けない人間「インレイ」のエッセーです。

化粧の段

化粧が好きだ。

化粧をするのも好きだし、化粧品を見るのも買うのも好き。

だから化粧品会社で働いた時は、好きな物に囲まれて本当に楽しかった。

多分女性なら、「苦手」はあるかもしれないが「嫌い」とまで言い切る人はそうそういないと思う。

 

私は生まれつきの美人とは違うので、化粧を施す事で、素顔でいるより自信がつく。

顔が平坦で大きめなので、工夫を凝らして少しでも小さく立体的に見せるのも面白い。

普段似合わない色も、舞台用に使うと案外しっくり来たりする。

舞台化粧は、普段化粧よりもっともっと楽しい…どれだけ沢山の色を使っても誰にも咎められないから…!

 

コロナ禍以前もマスクは度々していたけれど、化粧だって常にしていたものさ。

使い捨てマスクの内側はファンデーションと口紅で染まる…それでも良かったのだ、マスクはまだ安価で一日一枚で十分対応出来たから。

でも今は、供給が安定して来たとは言え「もう100円!」と声をあげたくなる価格。

マスクを洗って使い回せるように化粧を薄くしたり、手作りマスクの内側を化粧汚れが目立ちにくい色にしたり、そもそも化粧を諦めたり…コロナはこんな個人の小さな楽しみさえも奪うのか。

 

「ひきこもりのくせに化粧なんかすんじゃねーよこのごみ野郎!」という老人達の圧力に負け、なかなか化粧をしない日々。

本当に気が向いた時だけ、部屋で一人舞台化粧の練習をしては、すぐに落とす。

…メイク落としリキッドとコットンはそれなりに減るけれど、この程度の頻度ではなかなかメイクアップ製品は消費できない。

化粧品だって劣化するのだよ、冷房の無い私の部屋環境では余計に速く…。

 

もう、無理矢理でも消費しよう。

口紅をリップクリーム代わりに使おう。

素肌に濃い色の紅…正直変だが、部屋にいる分には誰にも迷惑は掛けぬ。

 在庫消費と気分転換にも、一人化粧は大切なのだ。

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